アルゼンチンの貿易投資年報
要旨・ポイント
- 2024年のGDP成長率は前年比1.7%減と2年連続のマイナス成長。
- 貿易収支は189億ドルの黒字で過去最高を記録。
- 対内直接投資額(ネット)は、前年比58.2%減。政治・経済の安定を待つ様子見の動き。
- 対日貿易額は輸出が前年比大幅減、輸入は前年比微増。
公開日:2025年6月23日

マクロ経済
ショック療法によりマイナス成長も、マクロ経済は安定化
2024年のアルゼンチン経済は、内需が落ち込み、実質GDP成長率は前年比1.7%減と、2年連続でマイナス成長を記録した。
ハビエル・ミレイ大統領は、2023年12月10日の就任時の国民に向けた演説で、前政権が残した負の遺産を整理し、アルゼンチンを再び経済発展の軌道に乗せるためには、財政健全化とショック療法に代わる方法はないと述べた。さらには、高止まりするインフレの抑制を最優先課題に掲げ、12月13日に自国通貨ペソの対ドル為替レートを50%超切り下げた。前政権下では、外貨準備高の払底による公式為替レートと非公式為替レートの乖離幅拡大がインフレ期待を増大させるとともに、財政赤字を主因とする通貨供給量の増大がインフレを高進させた結果、内需は過度に加熱した状態にあった。通貨の切り下げは内需を急速に冷え込ませ、2024年第1四半期の実質GDP成長率は、前年同期比5.2%減と大きく落ち込んだ。ミレイ政権の緊縮的な財政政策で景気は落ち込んだが、規制緩和や無申告資産の正規化、すなわちドルのタンス預金の正規化といった政策によって消費が刺激され、第3四半期には景気が底打ちしたと見られている。
実質GDP成長率を需要サイドから見ると、年間を通じて経済成長を支えたのは輸出だった。2023年は深刻な干ばつの被害により、外貨の稼ぎ頭である穀物、油脂及び大豆ミールの生産量が大きく減少し、輸出額全体を押し下げた。2024年は穀物の生産量が回復したこと、通貨の切り下げによる輸出の急増、内需の縮小による輸入の減少も相まって、貿易収支の黒字額が過去最高に達した。
一方、供給サイドでは、製造業、卸売・小売業、建設業の不振が目立っており、経済成長全体を大きく押し下げた。アルゼンチンでは、長年にわたって国内産業を保護し、国内で生産した財・サービスを国内で消費することで経済成長を目指す政策が採られてきた。そのため、内需の冷え込みは、製造業、卸売・小売業に大きな打撃を与えた。また、ミレイ政権下で公共工事のほとんどが中止されたことで、建設業の落ち込みにつながった。
大幅な通貨切り下げにより、2024年の年初には消費者物価指数上昇率(インフレ率)が急上昇した。しかし、その後の動向を踏まえると、ミレイ政権の経済安定化計画は、インフレの抑制に成功したといえるだろう。同計画は、第1段階で財政赤字ゼロ、第2段階で通貨供給ゼロを実行し、2025年5月時点では、資本取引規制を緩和する第3段階に入っている。IMFによる200億ドルの追加支援でアルゼンチン中央銀行(以下、中銀)の外貨建ての流動性を確保し、資本取引規制の緩和によって外貨を呼び込み、為替を安定させることでインフレを完全に抑え込もうとしている。経済安定化計画の実行によって、2024年のインフレ率は前年比117.8%増となり、2023年の前年比221.4%増から103.6ポイント低下するまでに抑え込まれた。2025年へ向けては、IMFの最新予測では20.0%、中銀がエコノミストらを対象に毎月実施する主要経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新結果の中央値は31.8%と発表されており、さらなる低下が期待されている。
ミレイ政権はこれまでのところ、マクロ経済を安定させることに成功している。特にインフレの抑制では大きな成果を上げており、次の課題は外貨準備高の蓄積だ。法的安定性の保証や資本取引規制の適用除外などを含む新たな投資優遇制度「大型投資奨励制度(RIGI)」を導入するなど、外国直接投資の呼び込みにも努めている。また、貿易黒字を穀物や油脂の輸出に依存する状況を変えるべく、国有石油会社YPFや民間企業によって、天然ガスの輸出インフラを整備するための投資が実行されている。同取り組みによって、政府は外貨の安定的な獲得を目指しているが、その結果が出るにはしばらく時間がかかりそうだ。
項目 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年間 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | |||
実質GDP成長率 | 5.3 | △ 1.6 | △ 1.7 | △ 5.2 | △ 1.7 | △ 2.0 | 2.1 |
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9.4 | 1.0 | △ 4.2 | △ 6.6 | △ 8.8 | △ 3.1 | 2.8 |
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3.0 | 1.5 | △ 3.2 | △ 4.3 | △ 6.1 | △ 2.8 | 0.5 |
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11.2 | △ 2.0 | △ 17.4 | △ 23.8 | △ 29.3 | △ 16.6 | 1.9 |
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4.6 | △ 7.5 | 23.2 | 26.4 | 19.5 | 20.1 | 27.1 |
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17.8 | 1.7 | △ 10.6 | △ 15.5 | △ 22.4 | △ 11.8 | 9.7 |
〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。
〔出所〕国家統計センサス局(INDEC)
貿易
内需縮小による輸入減と、穀物輸出増で貿易黒字が過去最高
2024年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比19.4%増の797億2,100万ドル、輸入は17.5%減の608億2,200万ドルとなった。貿易収支は188億9,900万ドルの黒字で、過去最高を記録した。2024年は穀物の生産が順調であったことから、深刻な干ばつ被害で生産量が急減した前年の反動により、輸出が好調だった。輸入は、大幅な通貨切り下げにより購買力が失われた結果、内需が冷え込み、国内の生産活動が低下した影響を受けて急減した。
輸出を品目別に見ると、輸出額全体に占める構成比が大きいトウモロコシや小麦などの穀物、大豆などの油糧種子、大豆ミールなどの食品産業残留物、食物油脂、原油の輸出増が輸出額全体を大きく押し上げた。
輸入を品目別に見ると、中間財、燃料・潤滑油関連品、資本財部品が輸入額全体を大きく押し下げた。他方、消費財の輸入は微減に留まったほか、乗用車の輸入は前年比で増加した。この背景には、ミレイ政権が進めている輸入代金支払い規制の緩和と、輸入関税の引き下げを通じて国産品に輸入品との競争とそれによる価格の引き下げを促す政策があるとみられる。輸入代金の支払い規制は、財・サービスともに段階的に緩和されている。ミレイ政権発足前は輸入代金の支払い可能時期の予見性が全くない状態だったが、2025年5月時点では、財については原則として輸入通関後の即時の支払いが可能となっている。前払いは、中小零細企業を除いて不可能だったが、資本財に限れば、船積み前にFOB建ての3割、船積み後、通関前に5割、通関後に2割の割合で前払いができるようになった。中小零細企業は財の種類に関係なく、輸入代金の全額を船積み後、通関前に支払うことができる。
国・地域別に見ると、輸出は、特にブラジル、ASEAN、インド、チリ、EU向けが伸びたことで輸出額全体を大きく押し上げ、輸入は、対ブラジル、中国、米国の落ち込みが大きく、輸入額全体を押し下げた。特に対米輸入の減少は天然ガス、原油を除く石油および歴青油の輸入が急減したことによる。アルゼンチンは、世界有数の石油・天然ガスの埋蔵量を誇るバカ・ムエルタ鉱区を有するが、未整備だったブエノスアイレスまで天然ガスを輸送するガス・パイプラインが完成し、暖房需要が高まる冬季に天然ガスを多く輸入する必要がなくなったことなどが背景にあるとみられる。
先述の通り、インフレを抑制するため、ミレイ政権は輸入関税の引き下げや輸入代金の支払い条件の緩和、輸入規制の緩和を通じて、国内製造業に輸入品との競争とそれによる国産品価格の低下を促している。その結果、2025年1月以降は輸入金額の伸び率が輸出金額の伸び率を上回るようになり、貿易黒字額が減少している。輸出の拡大により外貨収入を増やすべく、ミレイ政権は2025年以降も輸出税の引き下げをはじめ、輸出を後押しする施策や規制緩和を相次いで打ち出している。中銀のアンケート調査の最新予測結果によると、2025年の貿易収支黒字は98億ドルと、2024年に比べて大幅に減少する見通しだ。
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
一次産品 | 14,412 | 18,307 | 23.0 | 27.0 |
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8,656 | 10,833 | 13.6 | 25.2 |
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2,096 | 3,180 | 4.0 | 51.7 |
農畜産物加工品 | 23,822 | 29,675 | 37.2 | 24.6 |
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8,989 | 11,435 | 14.3 | 27.2 |
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5,826 | 8,057 | 10.1 | 38.3 |
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3,231 | 3,525 | 4.4 | 9.1 |
工業製品 | 20,643 | 22,062 | 27.7 | 6.9 |
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8,293 | 8,466 | 10.6 | 2.1 |
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4,291 | 4,374 | 5.5 | 1.9 |
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2,577 | 3,341 | 4.2 | 29.6 |
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2,042 | 2,320 | 2.9 | 13.6 |
燃料・エネルギー | 7,911 | 9,677 | 12.1 | 22.3 |
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3,887 | 5,473 | 6.9 | 40.8 |
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2,264 | 2,461 | 3.1 | 8.7 |
合計(その他含む) | 66,789 | 79,721 | 100.0 | 19.4 |
〔注〕2023年は暫定値、2024年は推計値。
〔出所〕国家統計センサス局(INDEC)
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
資本財 | 11,050 | 9,979 | 16.4 | △ 9.7 |
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8,903 | 7,592 | 12.5 | △ 14.7 |
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1,154 | 1,613 | 2.7 | 39.8 |
中間財 | 28,494 | 23,047 | 37.9 | △ 19.1 |
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19,878 | 16,784 | 27.6 | △ 15.6 |
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5,803 | 3,425 | 5.6 | △ 41.0 |
燃料・潤滑油関連品 | 7,924 | 4,009 | 6.6 | △ 49.4 |
資本財部品 | 15,966 | 13,216 | 21.7 | △ 17.2 |
消費財 | 7,940 | 7,405 | 12.2 | △ 6.7 |
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2,228 | 2,035 | 3.3 | △ 8.7 |
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1,720 | 1,582 | 2.6 | △ 8.0 |
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1,215 | 1,110 | 1.8 | △ 8.6 |
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887 | 845 | 1.4 | △ 4.7 |
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751 | 722 | 1.2 | △ 3.9 |
乗用車 | 1,849 | 2,873 | 4.7 | 55.4 |
合計(その他含む) | 73,714 | 60,822 | 100.0 | △ 17.5 |
〔注〕2023年は暫定値、2024年は推計値。
〔出所〕国家統計センサス局(INDEC)
国・地域 | 輸出(FOB) | 輸入(CIF) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | 2024年 | 2023年 | 2024年 | |||||
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
南米南部共同市場(メルコスール) | 15,073 | 17,158 | 21.5 | 13.8 | 21,854 | 18,487 | 30.4 | △ 15.4 |
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11,858 | 13,611 | 17.1 | 14.8 | 17,349 | 14,349 | 23.6 | △ 17.3 |
その他のラテンアメリカ統合連合(ALADI) | 9,996 | 11,059 | 13.9 | 10.6 | 2,886 | 2,340 | 3.8 | △ 18.9 |
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4,941 | 6,323 | 7.9 | 28.0 | 733 | 727 | 1.2 | △ 0.8 |
米国、メキシコ、カナダ | 7,290 | 8,361 | 10.5 | 14.7 | 10,601 | 8,034 | 13.2 | △ 24.2 |
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5,648 | 6,454 | 8.1 | 14.3 | 8,630 | 6,226 | 10.2 | △ 27.9 |
EU | 6,857 | 8,239 | 10.3 | 20.2 | 10,701 | 8,986 | 14.8 | △ 16.0 |
英国 | 603 | 663 | 0.8 | 10.0 | 602 | 497 | 0.8 | △ 17.4 |
スイス | 1,193 | 1,696 | 2.1 | 42.2 | 547 | 570 | 0.9 | 4.2 |
ASEAN | 5,062 | 6,766 | 8.5 | 33.7 | 4,117 | 3,326 | 5.5 | △ 19.2 |
中国(香港・マカオ含む) | 5,270 | 6,053 | 7.6 | 14.9 | 14,497 | 11,669 | 19.2 | △ 19.5 |
韓国 | 1,185 | 1,233 | 1.5 | 4.1 | 668 | 511 | 0.8 | △ 23.5 |
日本 | 659 | 307 | 0.4 | △ 53.4 | 1,222 | 1,246 | 2.0 | 2.0 |
インド | 2,451 | 3,933 | 4.9 | 60.5 | 1,432 | 1,296 | 2.1 | △ 9.5 |
中東 | 2,841 | 4,158 | 5.2 | 46.4 | 830 | 639 | 1.1 | △ 23.0 |
マグレブ諸国およびエジプト | 2,438 | 2,120 | 2.7 | △ 13.0 | 875 | 808 | 1.3 | △ 7.7 |
南部アフリカ関税同盟(SACU) | 208 | 367 | 0.5 | 76.4 | 153 | 152 | 0.2 | △ 0.7 |
大洋州 | 660 | 641 | 0.8 | △ 2.9 | 381 | 418 | 0.7 | 9.7 |
合計(その他含む) | 66,789 | 79,721 | 100 | 19.4 | 73,714 | 60,822 | 100 | △ 17.5 |
〔注〕2023年は暫定値、2024年は推計値。
〔出所〕国家統計センサス局(INDEC)
対内直接投資
政治・経済の安定を見極め、対内直接投資は様子見か
国家統計センサス局(INDEC)によると、2024年の対内直接投資額(ネット・フロー)は、前年比58.2%減の87億4,100万ドルだった。中銀が四半期毎に公表する外国直接投資統計によると、直接投資額の大幅な減少は、債務の形で投資先企業に提供された資金である負債性資本の大幅な減少によるものとみられる。また、現金、物品、権利の拠出および債務の資本化を含む出資資本は、前年比5.9%増だったが、政府が期待するほど大きく増えているわけではない。ミレイ政権下で投資環境は着実に改善しているが、政治情勢を横目で見つつ、投資については様子見をしている企業も少なくないようだ。それでも、2024年中に完成車メーカーや鉱山会社による投資案件が発表されている。
ミレイ政権は、新規に外国直接投資を呼び込むため、資本取引規制の早期解除を目指している。2025年4月には、同年1月1日に始まる会計年度に発生する利益の海外送金を自由化したが、資本取引規制の完全な撤廃には長い時間がかかると見られる。そのため、先述のとおり、投資を呼び込む切り札として「大型投資奨励制度(RIGI)」を導入した。この制度は、認定企業に対して資本取引規制の例外的措置を認めるほか、恩典を30年間保証することで、アルゼンチンの事業環境の課題である不確実性を排除しようというものだ。2025年5月時点で、炭化水素の輸送インフラの建設、鉱山開発を中心に10件の申請があり、うち4件が承認済となっている。承認済案件の中には、資源メジャーであるリオ・ティント(Río Tinto)のサルタ州におけるリチウム案件も含まれる。今後は、外貨準備高の蓄積に加えて、アルゼンチンのマクロ経済のさらなる安定化や、2025年10月に実施される国会議員中間選挙での与党の勝利などの事象によって投資家の安心感が高まれば、対内直接投資はますます増加するとみられる。
概要 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 金額 | 伸び率 | |
対内直接投資 | 13,111 | 20,905 | 8,741 | △ 58.2 |
〔出所〕国家統計センサス局(INDEC)
業種 | 企業名 | 国籍 | 時期 | 投資額 | 概要 |
---|---|---|---|---|---|
農業機械 | ジョンディア(John Deere) | 米国 | 2024年3月 | 15 | 散布機および播種機の生産を50%増加させる目的で、2018年にサンタフェ州のラス・ロサスで取得した工場に1,500万ドルを投じた。 |
石油・ガス | トラフィグラ(Trafigura) | オランダ | 2024年5月 | 200 | バイア・ブランカ製油所の精製、貯蔵能力を向上させるため、今後2年間で2億ドルの投資を行うとともに約1,000人の新規雇用を創出する。 |
二輪車 | ホンダ | 日本 | 2024年8月 | 15 | ブエノスアイレス州のカンパナ工場においてオートバイ部品のブラジル向け輸出拡大を目的とした1,540万ドルの投資を発表した。 |
自動車 | ルノー(Renault) | フランス | 2024年9月 | 350 | コルドバ州のサンタ・イサベル工場で新型ピックアップトラックを生産するため、3億5,000万ドルを投資すると発表した。 |
自動車 | ステランティス(Stellantis) | オランダ | 2024年9月 | 385 | コルドバ州の工場において、新車種、新規部品やエンジンの開発を目指して3億8,500万ドルを投資すると発表した。 |
小売 | カルフール(Carrefour) | フランス | 2024年11月 | 300 | アルゼンチン国内各地に27の中規模店舗と60の小規模店舗を新設する目的で3億ドルを投資すると発表した。2,500人の新規雇用を創出する予定。 |
鉱業 | リオ・ティント(Río Tinto) | 英国 | 2024年12月 | 2,500 | アルゼンチン北部のサルタ州にあるリンコン・プロジェクトにおいて炭酸リチウムの生産拡大のため25億ドルを投資すると発表した。 |
〔出所〕 各社発表および報道などから作成
対日関係
価格要因により、炭酸リチウムの対日輸出額が急減
INDECによると、2024年の対日貿易額は、輸出が前年比53.5%減の3億780万ドル、輸入は1.9%増の12億4,540万ドル、貿易収支は 9億3,760万ドルの赤字だった。日本は、アルゼンチンの輸出相手国として46位、輸入相手国として10位だった。対日輸出額を大きく押し下げたのは、トウモロコシと無機化学品(日本側統計によると、炭酸リチウムであると推測される)だ。対日輸入額を押し上げたのは、ワクチンなどの免疫産品、除草剤、発芽抑制剤及び植物生長調整剤(小売り用)だった。
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
冷凍のエビ類 | 57.5 | 69.6 | 22.6 | 21.2 |
トウモロコシ | 186.5 | 35.7 | 11.6 | △ 80.9 |
アルミニウム及びその製品(※) | n.a. | 35.1 | 11.4 | n.a. |
無機化学品(※) | 217.8 | 28.4 | 9.2 | △ 87.0 |
ぶどうジュース(ぶどう搾汁を含む) | 24.1 | 17.3 | 5.6 | △ 28.1 |
冷凍イカ、スルメイカ | 19.4 | 15.5 | 5.0 | △ 20.2 |
柑橘類果汁(オレンジ、グレープフルーツ、ザボンを除く) | 9.6 | 12.1 | 3.9 | 26.0 |
天然はちみつ | 7.0 | 6.7 | 2.2 | △ 4.6 |
ぶどう酒 | 6.0 | 5.1 | 1.7 | △ 15.3 |
動物性、植物性又は微生物性の油脂(※) | 2.0 | 4.9 | 1.6 | 140.2 |
合計(その他含む) | 661.4 | 307.8 | 100.0 | △ 53.5 |
〔注〕2023年は暫定値、2024年は推計値。輸出品目の※は、統計の秘密保護を理由にHSコード2桁のみ公表。
〔出所〕 国家統計センサス局〈INDEC〉
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
ギヤボックス及びその部分品 | 321.1 | 326.7 | 26.2 | 1.7 |
医療用免疫血清及び免疫産品 | 22.3 | 62.2 | 5.0 | 178.6 |
除草剤、発芽抑制剤及び植物生長調整剤(小売り用) | 15.9 | 39.5 | 3.2 | 149.2 |
気体ポンプ、気体圧縮機 | 31.6 | 33.0 | 2.6 | 4.5 |
ピストン式圧縮・火花点火内燃機関エンジン用部品 | 28.0 | 23.5 | 1.9 | △ 16.0 |
駆動軸及び非駆動軸並びにこれらの部分品 | 32.5 | 22.8 | 1.8 | △ 29.9 |
ガスタービンの部分品 | 11.2 | 19.4 | 1.6 | 72.9 |
自動調整機器 | 17.0 | 17.5 | 1.4 | 2.6 |
10人以上の人員(運転手を含む)の輸送用の自動車 | 0.1 | 17.0 | 1.4 | 23,235.7 |
油圧伝動装置用又は空気圧伝動装置用の弁 | 15.9 | 16.2 | 1.3 | 2.0 |
合計(その他含む) | 1,222.2 | 1,245.4 | 100.0 | 1.9 |
〔注〕2023年は暫定値、2024年は推計値。輸出品目の※は、統計の秘密保護を理由にHSコード2桁のみ公表。
〔出所〕 国家統計センサス局〈INDEC〉
基礎的経済指標
項目 | 単位 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|
実質GDP成長率 | (%) | 5.3 | △ 1.6 | △ 1.7 |
1人当たりGDP | (米ドル) | 13,676 | 13,836 | 13,415 |
消費者物価上昇率 | (%) | 94.8 | 211.4 | 117.8 |
失業率 | (%) | 6.3 | 5.7 | 6.4 |
貿易収支 | (100万米ドル) | 12,352 | △ 2,937 | 22,377 |
経常収支 | (100万米ドル) | △ 4,055 | △ 20,956 | 6,285 |
外貨準備高(グロス) | (100万米ドル) | 44,598 | 23,073 | 29,640 |
対外債務残高(グロス) | (100万米ドル) | 276,216 | 287,809 | 276,137 |
為替レート | (1米ドルにつき、アルゼンチン・ペソ、期中平均) | 130.62 | 296.26 | 914.69 |
注
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率、貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):国家統計センサス局(INDEC)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF